
Netflix映画『消失的人』(Vanishing Point)は、程偉豪(チェン・ウェイハオ)が脚本・監督を務め、鄭愷(ジェン・カイ)、劉浩存(リウ・ハオツン)、邱澤(ロイ・チウ)、李晨(リー・チェン)らが出演するサスペンス映画です。
原作は貝客邦の小説『海葵』。
物語は、同じマンションで起きた3つの不可解な出来事から始まります。
9歳の少年・唐諾(タン・ヌオ)が突然姿を消した失踪事件。
自宅で眠っていた林雨彤(リン・ユートン)が何者かに薬を盛られ、性的暴行を受けた事件。
そして、父親の死を隠し、遺体を自宅に残していた嚴午(イエン・ウー)。
一見すると無関係に見える3つの事件ですが、物語が進むにつれて、**301号室と302号室の間に存在する「隠し通路」**によってすべてがつながっていきます。
では、唐諾はなぜマンションから突然消えたのでしょうか。
林雨彤を襲った犯人はいったい誰なのか。
嚴午はなぜ父親の遺体を隠したのか。
そして徐志杰(シュー・ジージエ)と娘・瑩瑩(インイン)が隠していた秘密とは?
ここからはNetflix『消失的人』のあらすじ、登場人物、犯人の正体、唐諾失踪の真相、隠し通路の秘密、そしてラストまでを整理します。
※以下、『消失的人』の結末を含むネタバレがあります。
『消失的人』あらすじ|マンションで起きた3つの事件
『消失的人』では、主に3つの事件が並行して描かれます。
最初の事件は、唐諾の失踪です。
父親の唐宇(タン・ユー)は、息子の唐諾を学校へ送ろうとしていました。
ところが、先に自宅を出たはずの唐諾が下に降りてきません。
唐宇が確認すると、唐諾はすでに姿を消していました。
さらに不可解なのは、マンションの監視カメラにも、唐諾が普通に建物から出ていく様子が残されていなかったことです。
家を出てからわずかな時間の間に、9歳の少年はマンション内から消えてしまったのです。
もう一つの事件が、林雨彤が自宅で襲われた事件です。
林雨彤は自宅で眠っている間に何者かに薬を盛られ、性的暴行を受けます。
しかし、玄関や窓には犯人が侵入した明確な痕跡がありませんでした。
犯人はどこから部屋に入ったのでしょうか。
そして3つ目が、嚴午と父親をめぐる出来事です。
ギャンブルで借金を抱える嚴午は父親と暮らしていました。
ところが父親が死亡した後も、その事実を外部に知らせず、遺体を自宅に隠し続けます。
この3つの出来事をつなぐ鍵となるのが、マンションの301号室と302号室でした。
『消失的人』登場人物・キャスト
唐宇(鄭愷)
唐諾の父親。突然姿を消した息子を捜し続けます。
唐諾(湯心一)
唐宇と阿玉の9歳の息子。マンション内で突然行方不明になります。
阿玉(姜妍)
唐諾の母親。息子の失踪によって大きなショックを受けます。
林雨彤(劉浩存)
自宅で何者かに襲われた女性。犯人がどのように自宅へ侵入したのかを調べ始めます。
林文昭(李晨)
林雨彤の兄で医師。
阿駿(畢雯珺)
林雨彤の男性同僚。一時は事件の容疑者として疑われます。
嚴午(邱澤)
ギャンブルで借金を抱える男性。父親とともに301号室を借りて暮らしています。
徐志杰(馮兵)
302号室の住人。建材や内装関係の仕事をしており、過去に林雨彤の部屋のリフォームにも関わっています。
瑩瑩(馮雪雅)
徐志杰の娘。唐諾とも面識があります。
『消失的人』犯人はいったい誰?
物語の大きな謎となっているのが、林雨彤を襲った人物の正体です。
林雨彤は自宅で被害に遭いましたが、玄関や窓から何者かが侵入した痕跡は見つかりませんでした。
そのため当初は、彼女と近い関係にあった阿駿も疑われます。
しかしDNA鑑定によって、阿駿が犯人ではないことが判明します。
林雨彤は一時、自分の兄・林文昭にまで疑いを向けます。
しかし最終的に明らかになる犯人は、302号室に住む徐志杰でした。
では、徐志杰はどうやって施錠された林雨彤の部屋へ侵入したのでしょうか。
徐志杰はどうやって林雨彤の部屋に入った?
最大の秘密はマンションの構造にあります。
林雨彤の301号室と徐志杰が住む302号室は別の住戸ですが、実際には壁を挟んで隣接していました。
さらに重要なのが、林雨彤の部屋の内装工事に徐志杰が関わっていたことです。
徐志杰は工事を利用し、301号室と302号室の間に秘密の通路を残していました。
その入口は302号室にある徐志杰の部屋のクローゼット付近に隠されています。
つまり徐志杰は玄関や窓を使う必要がありません。
自宅の302号室から隠し通路を抜ければ、そのまま301号室へ侵入することができたのです。
これが、林雨彤がどれだけ玄関や窓を調べても侵入経路を発見できなかった理由でした。
林雨彤に何が起きた?
林雨彤は自宅で眠っている間に薬を盛られ、性的暴行を受けます。
目を覚ました後、身体や衣服の異変に気づいた林雨彤は病院で検査を受け、証拠となる検体も残します。
その後、阿駿など周囲の男性も疑いますが、DNA鑑定によって阿駿は犯人ではないことが判明。
やがて林雨彤と阿駿はマンションの構造を調べ、301号室と別棟の302号室が壁一枚を隔てて隣接していることに気づきます。
そして302号室の住人こそ、以前301号室の内装工事を担当した徐志杰でした。
隠し通路が発見されたことで、長く分からなかった「犯人はどうやって家に入ったのか」という謎も解けます。
唐諾失踪の真相|なぜ監視カメラに映らなかった?
唐諾の失踪も、この隠し通路と関係しています。
失踪した日、唐諾は徐志杰が暮らす302号室に入り、その後、徐志杰の部屋にあるクローゼットに隠れます。
ところが、そのクローゼットの奥には秘密の通路がありました。
唐諾は通路を進み、壁の反対側にある301号室へ入ってしまいます。
つまり唐諾は、通常の廊下や階段、エレベーターを使って移動したわけではありません。
302号室から隠し通路を通って301号室へ移動したため、監視カメラから姿を消したように見えたのです。
これが唐諾失踪の仕掛けでした。
唐諾は301号室で何を見た?
唐諾が秘密の通路から入った301号室には、当時、嚴午と父親が住んでいました。
突然部屋の中に現れた唐諾に驚いた嚴午は、混乱の中で唐諾を攻撃してしまいます。
その結果、唐諾は頭部を負傷します。
しかし、嚴午は唐諾を殺していません。
唐諾が負傷した後、嚴午は傷の手当てをしています。
ここで、それまで別々に描かれていた「唐諾失踪」と「嚴午の物語」がつながります。
嚴午はなぜ父親の遺体を隠した?
嚴午が父親の遺体を隠していたことも、物語の大きな謎の一つです。
嚴午はギャンブルにのめり込み、借金を抱えていました。
父親との関係も金銭問題によって悪化していきます。
その後、父親は脳梗塞で死亡します。
ここで重要なのは、嚴午が父親を殺害したわけではないという点です。
しかし父親の死後、嚴午は正常な手続きを取りませんでした。
父親の死を届け出れば、父親の年金などを受け取れなくなります。
経済的に追い詰められていた嚴午は父親の死を隠し、遺体を自宅に残すことを選択します。
そして遺体の状態が悪化すると、大型の水槽を利用して遺体を隠そうとします。
したがって、嚴午の「遺体隠し」と唐諾の失踪は、もともとは別々に発生した出来事でした。
徐志杰はなぜ唐諾を狙った?
唐諾が隠し通路を発見したことで、徐志杰にとって大きな問題が発生します。
もし唐諾が自分の見たものを大人に話せば、警察が隠し通路を発見する可能性があります。
そして通路が見つかれば、徐志杰が林雨彤の301号室へ秘密裏に侵入できたことも明らかになります。
つまり徐志杰にとって唐諾は、自分の犯罪につながる秘密を知ってしまった存在になったのです。
徐志杰が守ろうとしていたのは嚴午ではありません。
自分自身と、壁の中に隠していた秘密でした。
嚴午は唐諾を殺そうとした?
嚴午は唐諾を負傷させていますが、最終的に唐諾を殺すことはしません。
むしろ徐志杰が唐諾の存在を危険視する中で、嚴午は徐志杰と対立することになります。
嚴午自身にも、父親の遺体を隠しているという知られたくない秘密があります。
それでも唐諾を殺害することは選びませんでした。
終盤では、この判断が徐志杰との衝突につながっていきます。
『消失的人』ラスト|唐諾を救ったのは誰?
一方、林雨彤と阿駿も301号室と302号室の秘密に近づいていました。
林雨彤は301号室の所有者であるため、自分の鍵を使って部屋へ入ります。
ここで、それまで別々に進んでいた3つの事件が同じ場所に集約されます。
徐志杰は自分の秘密を守ろうとしますが、嚴午は林雨彤まで巻き込まれることを阻止しようとします。
そして嚴午と徐志杰の間で争いが発生。
その混乱の中、林雨彤が徐志杰の頭部を攻撃し、徐志杰は抵抗できなくなります。
その結果、唐諾は生きたまま救出されます。
瑩瑩はなぜ唐諾の名札を渡した?
物語の終盤でもう一人重要になるのが、徐志杰の娘・瑩瑩です。
瑩瑩は父親の部屋に秘密があることを知っていました。
そして唐諾が失踪した後、唐諾の学生用の名札を唐宇に渡します。
この名札が、大人たちの目を徐志杰へ向ける重要な手掛かりになります。
徐志杰が逮捕された後、父娘が面会する場面でも、徐志杰は瑩瑩に「なぜ名札を渡したのか」と問いかけています。
したがって、瑩瑩が何も知らずに偶然名札を渡したわけではありません。
瑩瑩は父親が秘密を抱えていることを知ったうえで、唐諾と徐志杰を結びつける手掛かりを大人に渡したことが分かります。
ただし、瑩瑩が最初からその後に起こるすべての出来事を計画していたと、映画の中で明確に説明されているわけではありません。
瑩瑩が本当の黒幕だった?
『消失的人』のラストで誤解されやすいポイントです。
林雨彤を襲った人物については、徐志杰であることが明らかになります。
一方、瑩瑩は唐諾の名札を唐宇に渡し、徐志杰の秘密が発覚するきっかけを作っています。
しかし映画では、瑩瑩を一連の事件の「真犯人」や「黒幕」と明確に位置づけてはいません。
瑩瑩が父親の秘密を知っていたこと、そしてその秘密が外部に知られるよう意図的に手掛かりを渡したことと、林雨彤への犯罪や唐諾を危険にさらした行為は分けて考える必要があります。
瑩瑩は徐志杰の秘密が明らかになるうえで重要な役割を果たした人物ですが、林雨彤を襲った犯人ではありません。
徐志杰の最後はどうなる?
すべてが明らかになった後、徐志杰は逮捕されます。
終盤には、徐志杰と娘・瑩瑩が面会する場面があります。
徐志杰は、自分が犯した行為よりも、瑩瑩がなぜ唐諾の名札を渡して秘密を明らかにしたのかを問題にします。
そして瑩瑩は、徐志杰と暮らしていた環境から離れることになります。
その後、瑩瑩と唐宇一家との関係も描かれます。
ただし映画では、唐宇夫妻が正式な法的手続きを経て瑩瑩を「養子にした」とまでは明確に説明されていません。
『消失的人』結末まとめ|3つの事件の真相
最後に、『消失的人』で明らかになった事実を整理します。
唐諾はなぜ消えた?
302号室に入った唐諾がクローゼット奥の隠し通路を発見し、301号室へ移動したためです。
通常の廊下を通らなかったため、監視カメラ上では突然姿を消したように見えました。
林雨彤を襲った犯人はいったい誰?
徐志杰です。
過去に301号室の内装工事を担当した徐志杰は、301号室と302号室をつなぐ秘密の通路を残し、そこから林雨彤の部屋へ侵入していました。
嚴午は父親を殺した?
いいえ。
父親は病気で死亡しました。
嚴午は父親の死後も年金などを得るために死を隠し、遺体を処理せず自宅に隠していました。
嚴午は唐諾を殺した?
いいえ。
突然現れた唐諾を攻撃して頭部を負傷させますが、その後は傷の手当てをしています。
徐志杰はなぜ唐諾を危険視した?
唐諾が隠し通路を発見したからです。
通路の存在が明らかになれば、徐志杰が林雨彤の部屋へ侵入した方法も発覚してしまいます。
瑩瑩は犯人?
林雨彤を襲った犯人ではありません。
瑩瑩は父親の秘密を知っており、唐諾の名札を唐宇に渡すことで、徐志杰へつながる手掛かりを残しました。
唐諾は最後に死亡する?
いいえ。
唐諾は最後まで生存しており、救出されます。
『消失的人』タイトルの意味は?
タイトルにある「消失」は、最も直接的には突然姿を消した唐諾を指しています。
しかし物語には、ほかにも「消えた存在」が登場します。
嚴午の父親はすでに死亡しているにもかかわらず、その死が隠されていました。
林雨彤を襲った人物も、玄関や窓を使わずに侵入・退出していたため、当初は「どこから現れ、どこへ消えたのか分からない人物」でした。
そして、これらの謎をつないでいたのが301号室と302号室の間に隠された通路です。
『消失的人』原作は『海葵』
Netflix映画『消失的人』の原作は、貝客邦によるサスペンス小説『海葵』です。
『海葵』は過去に中国ドラマ『消失的孩子』としても映像化されています。
そのため『消失的人』と『消失的孩子』には共通する基本設定がありますが、映画版では登場人物や構成、一部の展開が再構成されています。
